問題文
下表に示すコンクリートの配合条件が与えられているとき、次の記述のうち、不適当なものはどれか。ただし、セメントの密度は3.15g/cm3、細骨材の表乾密度は2.60g/cm3、粗骨材の表乾密度は2.65g/cm3、粗骨材の実積率は58%とする。
下表
選択肢
- 細骨材率は、48.0%~49.0%である。
- 単位細骨材量は、855~856kg/m3である。
- 単位粗骨材量は、922~923kg/m3である。
- コンクリートの単位容積質量は、2330~2340kg/m3である。
解答と解説
解答
4.コンクリートの単位容積質量は、2330~2340kg/m3である。が不適当である。
解説
配合計算の問題は下のような表を用意し、すべて埋めると設問に対して解答できるようになる。
STEP0.前提条件の確認する
前提として知っておく最低限の知識は以下のとおりである。
- 示方配合は1m3(=1000ℓ)となっている。
- 体積×密度=質量、質量/密度=体積
- 密度は水:1.0g/cm3、セメント:3.15g/cm3、骨材:2.5g/cm3程度と出題され、それぞれの単位量(示方配合における質量)が与えられるので、質量/密度=体積に代入することで体積を計算する。
- 密度の単位は、g/cm3=kg/ℓ=t/m3のいずれかとなるが、いずれも同じ割合を意味している。
- 割合・比率は質量に関係する場合と体積に関係する場合がある
- 水セメント比は質量に関係していて、細骨材率は体積に関係しているなど。
STEP1.空気量を求める
空気量は全体積1000ℓの4.5%なので、45ℓとなり、質量は持たない(=0kg)。
- 空気量は全体に対する体積比であることを覚える。
STEP2.単位水量から水の質量と体積を求める。
単位水量(170kg)は全体に対する質量を示し、水の密度は1.0kg/ℓのため質量と体積は同じ数値を入れる。
- 単位水量は質量を示す。
- 水の密度は1.0g/cm3である。
STEP3.水セメント比からセメントの質量と体積を求める。
水セメント比は水とセメントの質量比を表す。水セメント比(W/C=)50%は水1に対してセメント2の割合のため、水の170kgなのでセメントは340kgとなる。
体積は質量に密度を乗じると計算できる。
- 水セメント比は水とセメントの質量比
- 体積=質量×密度
STEP4.単位粗骨材かさ容積と実積率から粗骨材の体積を求める
単位粗骨材かさ容積とは、かさとして粗骨材が1m3あたりに占める体積を示していて、実積率はそのかさに対して実際に占める割合を示している。
かさとして粗骨材は600Lあり、実積率は58%のため粗骨材の体積は348Lとなる。粗骨材の密度が2.65のため、体積に密度を乗じて質量を算出する。
- 単位粗骨材かさ容積×実績率=粗骨材の体積
- 体積×密度=質量
STEP5.体積の残りから細骨材の体積を求める。
体積の合計は1000ℓのため、細骨材の体積はその他の材料の合計(108+170+348+45)を1000ℓから差し引いて計算する。細骨材の質量は体積×密度により計算する。
- 示方配合の体積の合計は1000ℓ(=1m3)である。
配合表と問題文の比較
- 細骨材率は、48.0%~49.0%である。
- 単位細骨材量は、855~856kg/m3である。
- 単位粗骨材量は、922~923kg/m3である。
- コンクリートの単位容積質量は、2330~2340kg/m3である。
1.について
細骨材率とは、全骨材体積のうち、細骨材の体積の割合を示すので、329/(324+348)=48.6%となり、選択肢1.は正しいことが分かる。
2.について
単位細骨材量は856kgとなり、選択肢2.は正しいことが分かる。
3.について
単位粗骨材量は922kgとなり、選択肢3.は正しいことが分かる。
4.について
コンクリートの単位容積質量(=1m3の質量)は示方配合の全材料の合計質量のことであるため2288kg(=340+170+856+922)となり、選択肢4.は誤っていることが分かる。
まとめ
配合計算の問題は以下の表を全て入力すると、おのずと選択肢の正誤が分かるようになる。
また回答するために覚えておくべきことを以下に挙げておく。
(質量に関することを赤字、体積に関することを青字とした。)
- 空気量は全体に対する体積比である
- 単位粗骨材かさ容積×実績率=粗骨材の体積
- 細骨材率は全骨材体積のうち、細骨材の体積の割合を示す。
- 単位水量は質量を示す。
- 水セメント比は質量の割合を示す。
- コンクリートの単位容積質量(=1m3)は示方配合の全材料の合計質量のことである。
- 示方配合の体積の合計は1000ℓ(=1m3)である。
- 水の密度は1.0g/cm3である。
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