問題文
海水の作用を受けるコンクリートに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
- 物理的な侵食は、飛沫帯や干満帯よりも海中部の方が生じやすい。
- 化学的抵抗性は、高炉セメントB種よりも普通ポルトランドセメントの方が高い。
- 海水中の硫酸マグネシウム(MgSO4)は、水和生成物との反応により体積膨張してコンクリートを劣化させる。
- 海水中の塩化マグネシウム(MgCl2)は、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応して組織を緻密にする。
解答と解説
解答
3.海水中の硫酸マグネシウム(MgSO4)は、水和生成物との反応により体積膨張してコンクリートを劣化させる。が適当である。
解説
1.物理的な侵食は、飛沫帯や干満帯よりも海中部の方が生じやすい。
物理的な浸食とは、波による衝突による損傷を指している。そのため最も波の影響が大きいのは干満帯である。
2.化学的抵抗性は、高炉セメントB種よりも普通ポルトランドセメントの方が高い。
海水による科学的作用によりコンクリートは劣化する。具体的には硫酸マグネシウム(MgSO4)や塩化マグネシウム(MgCl2)があり、それらに対する抵抗性は高炉セメントB種の方が高い。
3.海水中の硫酸マグネシウム(MgSO4)は、水和生成物との反応により体積膨張してコンクリートを劣化させる。
硫酸マグネシウム(MgSO4)はセメントの水和生成物である水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応し、石こうの結晶と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を生成し、いずれも体積膨張を起こす。
さらに、石こうの一部はセメント中のアルミン酸三カルシウム(C3A)と反応し、エトリンガイトを生成し、著しい体積膨張を引き起こす。体積膨張によりコンクリートにひび割れを発生させる。
4.海水中の塩化マグネシウム(MgCl2)は、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応して組織を緻密にする。
塩化マグネシウム(MgCl2)は、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応し、塩化カルシウム(CaCl2)を生成する。塩化カルシウムは水溶性であり、コンクリート組織を多孔質化させ、コンクリートを劣化させる。
頻出ポイント
- 硫酸マグネシウム(MgSO4)はセメントの水和生成物である水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応し、石こうの結晶と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を生成し、いずれも体積膨張を起こす。
- 塩化マグネシウム(MgCl2)は、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応し、塩化カルシウム(CaCl2)を生成する。塩化カルシウムは水溶性であり、コンクリート組織を多孔質化させ、コンクリートを劣化させる。
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